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↓↓本日は「売買契約後決済前の災害による建物の滅失」に関するコラムです↓↓
引渡し前であれば支払いを拒める
建物の滅失が、建物の引渡しを受ける前であれば、残代金の支払いを拒み、
また、支払い済みの代金の返還を求めることができます。他方、建物の滅失が、
建物の引渡しを受けた後だと、残代金の支払いを免れず、支払い済みの代金の返
還を求めることもできません。
危険負担の原則
さて、契約上当事者双方が互いに義務を負担する契約を、「双務契約」といいま
す。改正前の民法では、双務契約において、契約後決済前に、物の引渡債務を履
行できなくなったとき(後発的不能、債務者に責任がない場合)、反対給付(他方の
債務)が消滅するかどうかが、危険負担の間題と捉えられていました。
危険負担の取扱いには、債権者主義と債務者主義があります。債権者主義とは、
後発的不能のリスクを債権者に負わせる考え方【たとえば、建物の売買契約につ
いて、契約日から2カ月後に決済(残代金支払い・引渡し)が予定されていたとこ
ろ、契約日から1カ月後に地震が発生し、建物が倒壊してしまった事例で、反対
債務(売買代金債務)を存続させること】であり、債務者主義とは、後発的不能の
リスクを債務者に負わせる考え方【この事例において反対債務(売買代金債務)を
消滅させること】です。
これまで、民法の条文上は、債権者主義の原則が採られていました(改正前民法
534条1項)。しかし、建物が滅失したのに買主が代金支払義務を負うという債権
者主義は、通常人の感覚と異なり、常識的とはいえません。
そのために、一般的に売買契約書の中で、決済前に建物が滅失した場合には、
代金債務を消滅させるとの取決めがなされ、特約で民法の条文の非常識が修正さ
れていました。
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担当:下田(しもだ)